ホームに戻る

多剤耐性アシネトバクターと多剤耐性緑膿菌

令和元年10月16日に本ホームページにおきまして当院本館5階病棟ならびに6階病棟での多剤耐性アシネトバクター院内感染についてご報告申し上げました。本報告では、当院で取り組んでおります様々な改善策とその経過をご報告させて頂きます。

令和元年8月に多剤耐性アシネトバクター院内感染が判明いたしました後、直ちに5階病棟および6階病棟の新規入院受け入れを中止するとともに、大阪大学感染制御部、四條畷保健所ならびに地域感染管理者から成る拡大感染対策委員会を設置しそのなかで頂いた数多くのご指摘とご指導を生かし、速やかに日々の診療・看護での感染対策ならびに病棟の清掃消毒に努めて参りました。その一方、同病棟に御入院中の患者様ならびに同病棟の設備につきまして、多剤耐性アシネトバクターの保菌状況を定期的に調査を続けているところでございます。

患者様の痰と便の検査では、8月末、9月末、10月末と3回にわたって多剤耐性アシネトバクターの新規発生は検出されませんでした。第1報の段階で保菌が確認された1名の多剤耐性アシネトバクター陽性患者様も、9月以降は培養陰性が続いております。

また環境面におきましても、9月初旬と10月初旬に2つの病棟の病室、ベッド、トイレ、吸引器の計270カ所につきまして多剤耐性アシネトバクターの検索を行いましたが、いずれの部分からも本菌は検出されませんでした。

第2報でも報告いたしましたように、薬剤耐性の緑膿菌についても調査を進めております。薬剤耐性緑膿菌は、抗菌薬のうちカルバペネム系、アミノグリコシド系、およびキノロン系の3剤に耐性となったものが多剤耐性と定義されています。当院で分離されました緑膿菌は2剤耐性がほとんどですが、ときどき3剤耐性になり、また2剤耐性に戻るなどの性質を有する緑膿菌で、専門家に問い合わせいたしましたところ、抗菌薬の使用によって耐性側に傾いたり、元に戻ったりする緑膿菌であるとの説明をいただきました。抗菌薬の使用によって耐性が強くなることから、院内感染対策の取り組みと同時に8月以降すべての病棟において抗菌薬の投与を見直し適正化に努めており、現在、緑膿菌の分離数も少なくなってきております。なお、緑膿菌につきましては、薬剤耐性の解釈で難しいところもあり、専門家に相談しながら、過去に遡って調査を継続していたしております。

当院では、8月以降感染情報の共有や連絡網の整備に努める一方、病棟の定期ラウンドと指導などICT活動の充実を図って参りました。11月12日(火)に4回目の拡大感染対策委員会が開催され、これらの経緯をご報告申し上げましたところ、今後もこれらの努力を続ける一方感染予防対策が効果的に行われているかを自己評価し患者様の感染状況モニタリング結果とともに拡大感染対策委員会へ定期的に報告することを条件に、本館5階病棟および6階病棟の入院再開が了承されました。まずは当院の入院患者様にご理解とご了解を得つつ、近隣の地域連携病院や関係各位にご了解を得ていく所存です。

以上、ご報告申し上げます。
皆様におかれましては、今後も引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

令和元年11月

医療法人仁泉会阪奈病院

ホームに戻る